赤いぼろきれと蜘蛛/田中修子
とてもとても遠い昔、あるところに、こじきの女の子がいました。
笑うのも泣くのも、おしゃべりも、誰かのお気に入りになるのも得意。
こどものころは大変でしたが、大人になり、乳房が豊かに揺れるころになると、その日いちにち、食べるのに困らないだけのお金を集めるのは、ふつうのおつとめの人より、かんたんになってしまいました。
そうなると、こじきの女の子は、もう、こじきではなくなっていました。
道端に捨てられていたときにくるまれていたぼろぼろの布をつつじの花で赤く染め上げ、首元に巻いておしゃれをします。
手に入れた部屋には、たくさんの人が訪れました。
絵描き、詩人、馬車が好きな人
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