炭化の街/ホロウ・シカエルボク
したそうだ
そんなたった一度の出来事で
彼らの間には友情が芽生えたってさ
幾年か後にそいつが死刑になったとき
牧師はすべてが終わった後のそいつの墓地に一人で出向き
長いことなにかを語りかけていたそうだ
それは聖書を開いて語るような話ではなかったってさ
空地があってさ、それは昔そこそこ大きなショッピングモールがあったところなんだけど
長いこと廃墟のままで放置されたあとでようやく取り壊されて
やたらとだだっ広いなにもない空間になったんだが
いつもそのあたりをうろついていた精神異常者がそのころから
まるで姿を見かけなくなったんだ
年のころは俺と同じぐらいで
太った挙句脂
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