炭化の街/ホロウ・シカエルボク
は
玄関に放置されたその子の玩具だった
押して歩く賑やかな車とかさ
ああいうのってあっと言う間に
埃にまみれてくすんじまうんだなって
あの路地で一人、あの家で一人
向こうの河原で一人
この街のパズルは失われたピースが多過ぎて
子守歌が年代物のクローゼットで化石になってる
パパは娘みたいな年頃の女を追い回し
ママは白粉で化けて息子みたいな男を揶揄う
とある家の男の子の夏休みの絵日記は
たった一人で遊んでる絵ばっかりだったってよ
ある殺人者は聖書を好んで読んだそうだ
お祈りの時間に牧師の些細な間違いを静かに訂正したってさ
牧師も即座に頭を下げて彼に感謝した
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