炭化の街/ホロウ・シカエルボク
 
うな酒屋の廃墟があるのを知ってるか?
そこは昔かみさんの居ない父娘が住んでいて
父親は子育てが上手くなくてさ
娘はそのうち家出しちまって
父親は十年だかそこで一人で暮らしていたんだけど
娘との暮らしが壊れたことをずっと悔やんでいて
ある日倉庫のでかい梁で首を吊って死んでいたって話だよ
本当のことかどうかは知らないけどね


真昼ほども空が瞬いた流星群の夜に
行方をくらましちまった友達のことを思い出す
父親の借金が原因だって話だった
知らずに遊びに行ったんだ
そいつには年の離れた弟が居てさ、まだよちよち歩きの
あとから居なくなったって聞いた時
真っ先に思い出したのは
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