青いままで/ただのみきや
ほそく
だけどまわりの庭木よりたかく
そよいでいる
白樺の梢の辺り
黄ばんだ葉の疎らな繁りにふと
青いまま
いくつか
乾きながら
さわさわと光にそよいだころの
面影を残し
切れ目なく薄い雲が覆う
つめたいまなざしの
無限に
娘軽業師の小刻みに震える細腕
ぶら下がる
乾いた蝶
いつまでだろう
白濁した
秋の
達観した
ひとみのなかの微小な
一点の揺らぎ
ですらなくなって
――ほつり と
駆けだした落ち葉の群れ
虚空の路
ふり返っては
風に破られて知る
薄い紙の張りぼてだった
がらんどうの胸
青くふるえていた
ものの
喪失
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