ブローニングM1910/ホロウ・シカエルボク
ねて来て
どこそこのストアーに押し入って食いものをたらふく頂こうぜと囁いた
話に乗ったのは腹が減っていたせいじゃない
退屈でどうしようもなかっただけなんだ
薄暗い照明の中でおれたちに脅された薄毛の貧相な老人は
レジの下の引き出しからオートマチックを取り出した
思わず引き金を引いたのは俺の指先で
お守り程度の小さな銃でも人は死ぬんだと知った
あまりのことにおれたちは怯えて
何も取らずに逃げ出した
今思えばもったいないことをしたものだ
おそらくあんなこともう二度とないだろうに
朝も昼も夜も悪夢を見た
それは現実にこの目にした風景だった
硝煙のにおいさえ漂ってくるよう
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