BACK/FRONT/5or6
 
冷た
い視線が先を濡らす間、二人はもう一度接
吻を求める。その声は、まるで朽ちる木々
の穴から雨を察知して身をひそめる栗鼠が
巣に蓄えた木の実を愛おしく齧る妄想に浸
りながら、入り口で微睡んでいる最中に、
素早く、爪で捕獲して、飛び立った梟が歓
喜して、思わず、口にした声のようで、道
路を踏み歩く、子供達が履く、長靴の指定
色である赤色と、同じくらいの二つの突起
に、きみは、何の慈悲もなく食らいつく。
それを分かち合う。擦り合う。クローゼッ
トの中で描くのは、売れない魔術師から逃
げてきた鳩が、近所の歯医者の、家の屋根
で、昼寝をしていた野良猫に捕まれて、ひ
らりと舞
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