ブラック&ホワイト/ホロウ・シカエルボク
壁をしばらく眺めてみた、もともとある色を執拗に塗り潰したようだった、塗料が褪せた感じでもなかったが、最近のものにも思えなかった、いったい、何の目的でそんなことが行われたのか?船を作るのに真っ黒い部屋が必要だとでもいうのか?俺は造船には詳しくはないが、そんなもの必要なわけがないことくらいは判った、さて―二階の廊下の真ん中で腐ったような付近の海を眺めながら俺は考えた、どこかの部屋が開くだろうか?その部屋も黒く塗り潰されているだろうか?その時、微かな音を立てて一番遠い部屋のドアが開いた、誰か居るのかと俺は身構えたが、そこから誰も出てくることはなかった、躊躇したが、その部屋に向かって走った、こちらに真っ黒
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