ブラック&ホワイト/ホロウ・シカエルボク
 
っ黒い背を向けて開いているドアの向こうへ回ると、そこだけ塗られていない部屋があった、俺は中に入ろうとして、慄いて立ち止まった、天井を走る頑丈そうな太いパイプに結び付けられた首吊りのロープが、こちらを向いて垂れ下がっていた、その後ろの姿見には俺が映っていた、鏡に映った俺の首のあたりにちょうど、ぶら下げられたロープの輪っかがあり…俺はしばらくの間呆然とそれを眺めていた、いたずらには思えなかった、この部屋にこれを作った誰かと、二階を塗り潰した人間は多分同じだろう、でもその目的を確かめるには少し遅過ぎたようだった、足元には何時からそこに居るのかもう判断もつかない、滅茶苦茶に散ばった一体の白骨があったのだ。


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