ブラック&ホワイト/ホロウ・シカエルボク
 
性は少なかった、廊下の壁にくっついていたキャビネットを足場にして、俺は潜入した、空気が意識を持っているような感覚だった、四方八方から、形のないものが俺のことを見ていた、そんな視線には慣れていた、事務室だの給湯室だの更衣室だの、あらゆる部屋のドアを押したり引いたりしてみたがどこも施錠されていた、叩き割る気はなかった、それに、窓からだいたいの様子は覗くことが出来た、ひとつひとつを確かめながら廊下の端にある階段を上ると、二階の壁や廊下、天井はすべて黒く塗り潰されていた、おそらくはそこにある部屋の中も、すべて…俺は面食らったが取り敢えず歩を進めた、階下と違いどの部屋にも何も表示されてはいなかった、俺は壁を
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