われらの時代/葉leaf
る。かくして、人々はどんどん孤立していきながらもよって立つ自律した精神を獲得することが少なかった。そこで私たちはどんどん不安や焦燥を感じるようになってきたのである。
現在、私たちが存在の根拠を獲得するためには、自己をただ無根拠に肯定するか、自律した個人を理論的に内面化するかのいずれかであると思われる。そして、現在私たちの大勢は自己の無根拠な肯定に向かっており、その肯定に成功した人間は緩やかな幸福感に満たされ、その肯定に失敗した人間は絶望の淵を歩く、そのような二極化が進んでいると思われる。
私は自己の無根拠な肯定に失敗した人間であり、そうすると自らの存在根拠を獲得するために個人主義の理論化を
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