郊遊/吉岡ペペロ
眠るこどものよこで髪をとぐ女の膝や脛や太股には影よりも光があった
鼾のような男の子と女の子の寝息が生きていることの切実と暴力を延々と垂れ流していた
鳥がさんざめく雑木林の一角は日に照らされていてそこを兄妹がおぼつかない足どりでさ迷っていた
男がボートを性交するような声を出しながらときどき蝶が舞う鬱蒼とした叢に引き寄せてから動かしていた
あの洞窟はなんだろう
光がのぞいているが
あの洞窟はなんだろう
台風から薄いレインコートで身を守り男がバイクや車のしぶく音にまみれて一時間数百円のバイトをしていた
黄色い夕日が暗くなり始めた河べりに男と兄妹が点
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