イタドリ/Lucy
 
「あの茎が秋に枯れるとスカンポって言ってね、
ぽきぽき折れるから、子どものころは
棒っきれがわりに振り回して遊んだものよ」
教えてあげると
しばらく彼女は
「あーほんとだ。あそこにも、こっちにも、
あれ全部イタドリなの・・。}
と感心していた。

翌日の早朝、宿を出て
大きな川岸を散歩していると
彼女がしみじみという
「すごいね、昨日までイタドリなんて私にとって
存在しないのも同然で、全く目に入っていなかったのに
名前を知ったとたんに
世界中が至るところイタドリだらけになった・・。」

私たちは橋の欄干につかまって
川岸の雑木林や高い山々を映しながら
とうとう
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