はぁ/木屋 亞万
 

街の温度が下がっていくごとに寂しさが増す。BBQの機会に一度も巡り合えぬまま湿気に覆われた炭のような気持ちで、物置のような部屋に転がっている。何もしないまま休日は過ぎ、どこへ行くにしても特に目的はない。ただ疲れている。衰えている。醜く老いていく。人ごみに出かけても、人のいない自然に出会っても、さびしい。音楽を聴いても、本を読んでも、人と話しても、むなしい。くちゃくちゃになった風船みたいな心を、トイレットペーパーの芯みたいな身体に入れて、部屋でごろごろ転がっている。
遠くの街で、美男美女が熱愛し、若者が殺し合い、車が暴走し、政治家が押領し、おじさんが不倫する。何一つ興味を持てない。何かに甘え
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