土曜の朝、手つかずのものはそのまま/ホロウ・シカエルボク
 

ディランの叫び声はやっぱり壊せないサボテンだった
「したいことをするだけさ」
あの男は初めっからそう言ってる
着火の鈍いコンロが湯を沸かすくらいの時間で
モーニング・コーヒーは作ることが出来る、とはいえ
飲み干す時間は丁寧に淹れたコーヒーとそんなには変わらない
要は密度の問題なのだ
忘れられないものを嚥下するには
目を凝らす激しさが必ず必要なのだ
ノートには書きかけの詩、もしかしたら
それは一生書きかけのままでそこにあるかもしれない
ゆきずりの女のようなもので
もう一度手の取るかどうかは神のみぞさ
テレビを消して
カーテンの隙間から空を見た
アドベンチャー・ゲー
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