アウトリーチ/ただのみきや
 
志とは関係なく別世界の何者かに捕らえられている
後悔しないかどうか確認したが
はっきりと 「いらない」 
手はすでにスマホを弄っている
――そう では

おもいっきり投げる
星形のヒトデは
青空の下を
手裏剣みたいに高速
回転しながら
生まれて初めて
空を飛んだ
海中の住人が
いま 風を切り
夏の焼けるような陽射しの中
ないから目はまわさないが
かつてない感覚
回転の遠心力で
蝕腕がおのれの外へ
遠くへと
引っ張られるような
そんな不思議を体験して
数十メートル先
音も無く着水した
昼下がりの海のまどろむ額へ
ゆっくりと沈んで往く
カモメが風に
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