並木道/もっぷ
 

「すみません!」
 と言って数人の男の子が庭に侵入してきた、少女のサンクチュアリに。ありそうで実はこの時がただ一度きりの大事件だった。並びの余所の家ではもっと頻繁にそういう少年たちを受け入れてきたはずである、向かいに大きな空き地のある一画に位置した五軒のどれもがそっくりの建て売り住宅だったから。少女の聖域が遭遇する災厄が一度だけで済んだということのほうが奇跡の賜物以外のなにものでもなかったのだ。
 さて、足である。男の子たちはほぼ小学校を来年終える、だいたいそんな歳の頃。その彼らの足である、少女の眼は生まれて初めての忙しさであちらの足元こちらの足元を点検するべく必死で動きまわった。
 案
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