雨やみ上がり虹のハシまでいと電話するすると吐く恋人のサギ(ゴル投稿長考版)/高橋良幸
 
切りの人参を買って
片手を上げるクマの口に狙いを定めて放り込んだ
そこからこぼれたものは多数のカラスに奪われてしまうが
むかし隠れた太陽を引き出したという神話の中の功績で
カラスは悪事を少しだけ許されることになっており
クマは彼らを気に留めはしなかった
檻の中にも
都市の中にも
野生と少しの悪意を持ち込むのが
焦げてしまった鳥の仕事らしい
鳥がいまも人と神を架け橋する
人間は人参をもう一袋買って
またそれを放る

悪意がまだゴミ箱を荒らす前の街角で
僕らは大抵の計算をできていたはずなのに
いつも完璧な曲線を引けず
そのために札幌へと向かう国道36号線は歪んでいる
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