テクストと批評/天才詩人
 
ちろん、ネットに投稿される文芸作品も、「テクスト」として、プロの批評家や学者による解釈や分析の対象になる時代です。それから、これは大事な点なのですが、テクストと呼ぶからと言って、対象は言語メディアに限りません。美術作品、なされた(パフォームされた) 演劇や、社会的行為なども、すべて「テクスト」と見なします。たとえ言語を媒介としなくても、それは批評行為の射程に入ったとたん、「テクスト」なわけです。

もちろん、このように批評の対象を広くとることで、「作品」の良否を度外視する態度が横行する危険は否めません。ドストエフスキーの小説やニーチェの著作が、主婦の携帯アプリでの会話と同等に扱われることに対す
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