テクストと批評/天才詩人
 
0年代以降、この傾向に変化が出てきます。従来の、高尚な文化と低級な文化を分かつ線引きの恣意性に批判があつまり、「文学」や「芸術」の枠におさまらない作品や現象も、まじめな批評行為の対象として認めましょう、という合意が形成されてきたのです。

僕の感覚では、いま言った「文学」「芸 術」という2つのカテゴリーをはみ出してしまうものを含め、包括的にあらゆるものを批評の守備範囲とするとき、その対象を「テクスト」と呼びます。いかにこの横文字が不自然に聞こえようと、いまのところ代替となる表現がありません。いまや、セーラームーンや、初音ミクの歌、LINEでの高校生同士のやりとり、電化製品の説明書、そしてもちろ
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