テクストと批評/天才詩人
 
約すると、 「テクスト」は批評の対象を、できるかぎり自由に設定するための、有用なターム(用語)なんだと思います。

たとえば、いま30代以上の人たちに考えて欲しいんですが、子供や青少年だったころ、現在のように「ドラえもん」やアイドル歌手のポップソングが、大学のゼミや人文学系の学会 で、シリアスな考察の対象になることがあったと思いますか。答えは否です。その当時は、批評(および人文系の考察や分析)は、「高尚」な美術や、文学作品などに対象を限定した行為でした。別の言い方をすれば、教養層むけのハイカルチャーと、庶民や若者のポップカルチャーはほぼ別のものとみなされていたわけです。ところが、おそらく90年
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