野の花/ただのみきや
 
花よ
いま震えている花よ
見えない風の手が怯えさせるか
それともやさしい愛撫に


花よ
人も同じ
誰かの心の中 将来のこと
見えないものに心を乱されて


わたしたちは少し似てはいるが
君はしなやかで控え目
蝶のように訪れる誰の目にも麗しい
生憎わたしはそうではない
減らず口で
欲求に引きまわされて歩きまわる
居場所なんて在って無いようなもの
ようするに根無し草だ


君は一途に日の光を愛する
与えられた場所が日陰になっても
そこからそっと見つめている
精一杯手を心を伸ばし続ける


人は我がまま無いものねだり
しつこいくせに飽きっぽく
[次のページ]
戻る   Point(8)