野の花/ただのみきや
 

昼は夜のように寝ぼけたことを言い
夜は昼のように興奮して眠らない


野の花よ
わたしたちの生涯を比べてごらん
君を儚いなんて呼ばわるのは
傲りの物差しだ
君の生涯には一分の無駄もなく
君の立ち姿には少しの嘘もない


どうかこれからもこうして
時々そっと話そうじゃないか
この意識が静かに果てるまで
更新され続ける油絵のように
尚も濃くなる夏の記憶の青草に縁取られ
黄昏ながらも燃えている
光と影を重ね着て
そっと
揺れながら はにかんで
微笑むように
咲いていてはくれないか
可憐な友
黄色い花よ



   
              《野の花:2016年7月26日》










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