チラシの裏のはなし/山人
 
負けに区分けする種を運ぶ売人の様でもあり
皆が金属臭のする体躯を包んでいる異星人の様でもある
こみ上げてくる臓腑からの空隙を、ひそかにアルコール臭とともに外気に散布する

b駅を降り、二十分ほどタクシーで走れば、もうふるさとの山域が見え、すっかり田舎道となる
懐かしいふるさとの話を聞き、その訛りにも触れ
わずか数百円のつり銭を引っ込めて運転手に礼を言い外に出る
ここから家まで数キロあるが、歩くことにした
ガードロープの下には懐かしい小川が流れている

(小川の川上から桃が流れてきて)
などと
新幹線の中で二合の酒を飲み、いささか酔ってしまってはいた
脳内にある奇妙な秘め事
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