チラシの裏のはなし/山人
め事をひとつひとつ川に向けて語り始めている私であった
川は歩幅とほぼ同等にゆったりと流れ、家まで続いているはずである
(向こうから赤ん坊が流れてきて)
見ると赤ん坊が私とともに流れている
ぽっかりと浮かび、パクパクとお乳でも飲んでいる夢でも見ているのか、眠っているのに少し笑っている
少し行くと赤ん坊は次第に大きくなり少年になっている
どんどん歩くと少年は青年に
いつの間にか年齢にあわせ、着衣を着けてある
やがて顔の輪郭がはっきりと現れた
どうやら父の若い頃のようだった
父はやがて水から上がり、
「元気そうだな。それが何よりだ」
と、ひとこと言い、立ち去った
家に
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