辺境の地の精霊たち/るるりら
が人間のような存在になる話は、自然との融合願望があると私は思う。
たとえ、それが恨みつらみの話だとしても 人はその話に癒しを感じてきたのじゃないかと私は思う。
たとえば、わたしの生まれ故郷に変容する蟹の話がある。平家蟹の平家の兵士たちが 源氏に対する恨みからカニに変化したという話だ。
人は 時折、ほかの生き物が人になったとか、ほかの生き物に変化したという伝承を 遺す。
わたしも、こどものころ 変化が ほんとうだろうと信じていたことがある。
下関に伝わる 人が蟹に変幻するなんて
考えても怪しい。 源平合戦より ずっと前から カブトガニはいたはずだからね。ほんとうにそうだと思うのは
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