夏の神々/ひだかたけし
り大きく羽も透けていた
僕はそのミンミン蝉を凝視した
途端に蝉はピタリと鳴くのを止めた
僕は内心驚いたが視点は外さなかった
無言で立ち尽くし意識をより強く蝉に向け集中させた
〇
すると奇妙なことが起こった
明らかに蝉もこちらに意識を向け集中しているのだ
そう感じられたというレベルではなく
その存在自体がこちらに向けられた警戒の意識で硬くよりカタク武装され僕の意識に圧力をかけてくる
その圧力が明らかに感覚的にではなく純粋な意識のレベルで感じられるのだ
僕は戦慄すると共に気圧されそうになる自らの意識の集中度を半ば無意識に高めた
〇
蝉の
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