百合/るるりら
 
を見上げると 雫が落ちてくる
まみず

無人島の真水
潮のにおいのない 無の味が 
命ある わたしの喉を ひんやり通ると
わたしの命は ほほえむ
たった数滴で さらにどこまでも 泳いでいけると確信した

わたしたちは、遭難者だ
だれも助けてはくれない
かならず 夕刻には薪のところへ帰らなければいけない
そう思ったときには夕刻に もう近づいていた

仲間の中にへたる者も でてきた
簡単な筏も作ってはいたが みながへたってきたので木材を
泳げなくなった者のために筏にくくりつけた 
いさましい者は先頭で みなを運ぼうとして
身体
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