金井雄二詩集『朝起きてぼくは』について/葉leaf
 
るがゆえの裏切りなのだ。
 引用部では、「生活」の世界で起こった何気ない出来事が描かれている。「お父さんが口をあけて寝ている」ことが怖い、という子供の発言が描かれている。このような詩行に直面したとき、私たちは生活の奥深さ、また、生活が日々新しく更新されていくこと、そんなことに思いを馳せるのではないだろうか。
 誰かが口をあけて寝ることを見て怖いと感じる人は普通はいない。だがそこに恐怖を感じ取ってしまうことは「生活」の世界ではむしろ頻繁に起こりうるのだ。考えてみれば、私たちの生活というのは日々新しい物事との直面であり、新しい領域の開拓であり、決して定常状態にはないものである。
 金井は私たちと
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