金井雄二詩集『朝起きてぼくは』について/葉leaf
ちと同じ「生活」を描きながらも、「生活」の中での私たちの知らない領域をあらわにしていく。同じ「生活」という世界の構造を共有しながらも、金井は金井自身の生活の領域を開拓していく。それは私たちにとっては新しいものであり、見慣れないものである。
現実とはこんなものだ
石は石でしかなく
私は私でしかない
小学生の頃
何が楽しかったのか
こうやって
何度も石を蹴り続け
自分の家まで帰ったっけ
石を
見つめる
今度は
ぼくがころびたい
(「石でもあれば」より)
引用部では突如「今度は/ぼくがころびたい」という詩行が現れる。このような詩行を前にしたとき、私たちは
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