夏を塗れ/天才詩人
詰まった母。朝8時。いくつもの母がゴミ袋 に詰められゴミ指定場に積み上げられる。清掃車の後部で母たちは粉砕される。血は滲んでいるか。血は滲んでいるか。僕は目撃しない。僕は路地を走って、8 時15分、校門をくぐって商店街に逃げ延びる。僕は本を閉じる。そうして濃い汗の臭いのなかで目を覚ます。お昼の弁当には目玉焼きがサクランボと一緒に僕の目を見ている。僕の目を見ている。
それらは商店街の路上に書き込まれたまだら模様の、陽だまりに濃い影を落とすいくつもの身体。轟音を立てて飛ぶ戦闘機が、殺戮し、跳ね上げ、光を頭上に旋回させた。啓示され、更新される、街。顔は黒く焦げている。ジェットコースターに乗って、
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