夜を千切り、張り付ける、呆然とした画用紙の上に。/ホロウ・シカエルボク
目になる、おおかた酔っ払いにちょっかいを出して、蹴飛ばされて喉でも痛めたのだろう、傷は癒えるかもしれないがあの鳴き声はもとには戻らないのかもしれないというくらいの予感を秘めている
幾度も水を飲み、いくつかの飴を舐めた、飽きてしまった頃にすべては始まる、渇きは、穏やかな時間にこそ始まる、渇きは、終始なにかを囁き続けている、確かに言葉を話しているのに、それはなにひとつまともな意味を持って聞こえることはない、耳を澄ますこともいつしかやめてしまった、知る必要のないことなどこの世界にはごまんとある、取捨選択が出来なければ認識にもボロが出る―海岸で貝殻をひとつだけ掘り出して、「この海には○○貝が居る
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