虚構の空白/汰介
けていた。
そして、壁に当たって、徐々に跳躍を弱めながら、
足元でついに転がるだけになったのを見届けて、
僕は、足でボールを挟み、その動きを完全に封じ込めた。
「ちくしょう!」
突如、僕は怒りに襲われて、そのボールを足で思い切り蹴飛ばしてしまおうかと思ったが、
止めた。
いくら僕でも、その行為が悲劇を生むであろう事位は熟知している。
しばらくはじっとしていたが、ふと目線を変えると、一冊の詩集があった。
ぱらぱら、とめくってみたが、さっぱり文字は図形以上の意味を僕には与えない。
何度挑戦してみても、詩集の方で僕を拒否している様だ。
こんな良い天気だと言うのに。
あ
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