そして落葉樹は/もっぷ
て、束の間の、勝てない眠りに落ちていった。
この詩を書いたのは三日ほど前の、ほかでもない彼女自身だった。祈るように誓うように試みて、いったんは未練を絶つべく処分をしたはずの歌だった。それがなぜ……。
丘に戻り、二十四年前の?あたし?の耳許に素早く、風がささやく。
「生きたいと、君が歌って、生きたいと君が人生の希望を謳って届いたようだ。四十八年後まで行ってみた。しっかりと地に足をつけて生きている?女性?が居たよ、ほがらかに春の公園でノートを広げていた。何か楽しそうに書いている様子だったよ」
「それ、わかります! 私は詩を書いているんです!」
落葉樹の裸だった枝が新緑を纏い
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