駅前の雨(改訂)/ひだかたけし
細かい雨が降り続くなか
最寄り駅前のロータリーに着くと
くるくる廻るビニール傘
黄色い小さな長靴履いた
三歳くらいの女の子が
くりくりまぁるい目をキョロキョロさせ立ち止まっていて
通りかけた僕が思わず笑いかけると
ニッコリ笑いを返し隣の母親を見上げた
三歳の娘を専業主夫をして育て溺愛してた頃
友人の女性が言っていたことを
僕はふと思い出した
く
「三歳のまりちゃんは二度と戻って来ないんだから今を大切にするんだよ、今あなたは三歳のまりちゃんと居るのよ」
パパ、という声にハッとする
振り向くとさっきの女の子が
すぐ傍に横付けされた車窓に手を振っている
俺は今
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