拝啓幸せに遠い二人へ/為平 澪
まうことを、知っています。
愛の淵は、二人の時間を止めることが可能なまでに残忍なことを、
私たちは、踝まで浸かったときに、知りすぎて、泣きましたね。
形あるモノばかりを掴んで、その温度を信じられないくせに、
私たちは、あいしている、を繰り返すのです。
(つなぎとめられない接続詞の空間で、
辛うじて、息をする二人 )
憎しみや喪失が、愛や希望で、あったためしがないと体に刻みながらも、
それらが、どこかに埋まっていると、言い続けなければ、
生きてはいけないのです。
剥き出しの怒りのうしろで、泣いている貴方の瞳には、海が、
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