拝啓幸せに遠い二人へ/為平 澪
、 映っています。
貴方が私を見つめるとき、青すぎるのは、そのためでしょう。
海に還りたいと願う貴方に、私は空のことばかりを話すから、
貴方はいつも、とおい、と泣くのです。
(あぁ、できるなら、できるなら、空が海に沈めばいいのに・・・)
そんなことばかりを考えて、私は今夜の「夜」という文字が、
消せないままでいます。
朝になったら、私は貴方の私でないように、貴方も私の貴方ではない。
それは、ふたりして、誓った約束でしたね。
私たちは、冬の雨に打たれながら、泣き顔を悟られないように、
いつまでも、はしらなければならないのです。
祈りを捨てて
幸せとは逆方向に
お互い背を向けたまま は し る 。
追記 ふたりの間に「いたみ」という名の、
こどもが、やどりました・・・。
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