ヘビトンボ/ただのみきや
じ顎
仲間たちが身を寄せて
重なり合い――
――強い匂い――
力が抜けて往く
{引用=《仲間たち》
おや新入りが来たようだ
ようこそ最後の楽園へ
きみもいろいろ大変だっただろう
ここにいるみんな同じ憂き目にあったのさ
こうして最後の時を
ヘビの腹の中でゆっくり
仲間と一緒に溶けて往くって訳だ
驚いたかい
でもね
考えてごらん
外で暮らしてもあと一日か二日
交尾後の雄なんてそんなものさ
おまけに外には鳥にカエル
カマキリに蜘蛛にスズメバチ
おれたちノロマは恰好の餌食ってものさ
ヘ
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