ヘビトンボ/ただのみきや
ヘビの旦那は気を利かせて
毎日一匹蛍を飲んでくれるから
こうして互いの顔を見て
慰め合って死ねるってものさ
どういう理由か解らないけど
からだが溶け始めて
ヘビの胃液と混じり合うと
なんかいい匂いがしてきてね
あたまがぼーとして
気持ちいいというのか
うふふ蕩けるっていうのか
ちっとも恐くないの
死ぬのなんてね
おい
どうした
そんなに慌てて
外に出たいだって?
よしなよ
わかっているだろう
ろくなことはないよ
ここで一緒に死のう
仲間だろ
《ヘビ》
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