ヘビトンボ/ただのみきや
なぜ騙した
なぜ弄ぶ
自由を約束しながら
蜘蛛の餌に差し出すなんて
なぜ苦しめる
ヘビめ
偽りの父よ
{引用=《ヘビ》
別に騙していないさ
言っただろう
「楡の木の下で放す」と
きみが浮かれて真っすぐ月へ上ったから
気が付かずに網にかかったのさ
強い風でも吹いたら無事だったかもな
だけどきみは油断した
油断したものは食べられる
それが現実 世界の仕組みさ
ここまで生きて交尾もすませたきみは
特別に優れていたのか
それとも特別についていたのか
とにかく幸せに長生きした訳さ
きみも水中にい
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