ヘビトンボ/ただのみきや
にいたころは多くの命を食べただろう
餌を逃がしてやったことはあるかい
ないだろう
それは正しい
わたしたちはなぜ食べる
生きるためさ
では なぜ生きる
子孫をふやすためか
否 そうじゃない
誰かに食べられるためさ
多くは卵の時に食べられる
一握りの運のいい者だけが孵化をし
そのほとんどが大人になる前に食べられる
残りは寿命を全うして
死骸を誰かの餌にする
みんな誰かの餌なんだよ
それがこの世界の仕組みさ
このわたしだって生きて喰われることもある
死んでから喰われることもある
わたしが死
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