死者の道(化石)/kaz.
ないまま、喉の奥の暗がりへと飲み込まれていく。
(女の腹の中で、黒光りする液体を泳ぎ切り、家に帰り着く)
ぽつり、ぽつりと星が照り出したのを見計らって、私は家を飛び出し、街灯を避けて走り出す。時々私の口に羽虫が飛び込み、そのまま飲み込んでしまう。羽虫は喉の奥で何かをまさぐって、その度にぞっとしながら、闇へ。羽虫が唇を掠めることもなくなった頃、墓地に辿り着く。星だけが点在する、ピンで留めたように。まだ、喉に何かが引っ掛かっていて、ガビリと引っ掻いて全身に響く。ガビリ、ガビリ、辺りの墓石からも聞こえ出し、重たい石の戸を開けて骨だけになった影が立ち上がり、私の周りで踊り狂う、ガビリ、ガビリ、
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