いまはそこから立ち去っていくだけの/ホロウ・シカエルボク
、森を訪れたのか、それとも帰って来たのか―家に帰ることは、森を出ていくことだ、当たり前のことのはずなのに、そこには奇妙な違和感がある、僕は少し木々に取り込まれているのかもしれない、人間よりは植物に近いと思うことがよくある、それは森に居る時より、人の中に居る時にこそ感じる―森で迷うやつらのことを思う、迷って、出られなくなって、そのまま息絶えてしまう連中のことを…彼らはきっと、帰りたくなくなったのだ、迷ったのではなく、惑わされて受け入れたのだ、愚かな愛に溺れるみたいにそうして死んでいったのだ、僕は歩みを進める、その時きちんと目的のことを考えていないと、彼らのように帰れなくなる気がする、眠ったうろから離
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