いまはそこから立ち去っていくだけの/ホロウ・シカエルボク
ら離れていくに従って、足が深く土に沈み込む気がする、古い芝居のように、愚かな女のようにこの場所が僕に未練を告げ、僕も心のどこかでそれに答えようという気持ちがあるのを覚える、そうすればおそらく僕の心は、この森を出ていくことはないだろう…僕は森で死ぬことを夢想する、いつか肉体が朽ちる時が来たら、そんなことを願うのもいいかもしれない、だけど僕はまだ、空を目指して立つには至らない、スニーカーの裏にアスファルトの感触を覚えると、立ち止まって振り返る、ついさっき歩いてきたはずの道は僕に捨てられた森に隠され、他人のような顔をした彼らの向こう側に、夕日が燃えながら落ちていこうとしている。
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