いまはそこから立ち去っていくだけの/ホロウ・シカエルボク
 
る、もうそれは数えられない、子供のころからそうしていたからだ、数え切れないほどの記憶がそこにはあるのに、そこで目覚めた瞬間のことはすべて覚えているような、そんな気になる…立ち上がると、太陽の向きは変わっている、午後になると、森は急に薄ら寒くなる、彼らにとって太陽はきっと、午前の間だけ意味を持つ、そう表現せざるを得ない―森の中で午後を迎えるということは、ひとつの役目が終わる瞬間を目の当たりにするということだ―霧が少し濃くなった気がする、馴れた森だから、慌てることはない、ちょっとしたコツを掴むだけで、来た道は覚えていられる…爆撃の後のように隆起と窪みを繰り返す地面を辿りながら、いつも思うことがある、森
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