夜光虫たちの晩餐/ホロウ・シカエルボク
の前にあるもの、まっさらなワードの文書とか、飲みかけのマグカップとか、軟膏の小さな缶みたいなものを眺めていればいい、視線をひとつところに固定するということだ、そうすればあとは勝手に誰かが思考の手を引っ張って奥まで連れて行ってくれる
きちんと理解しておかなければならないのは深部にたどり着いたとき目の前に見えるものが望むものではないという結果の方がずっと多いということだ、それは少なからず心を惑わせ、精神に決定的な打撃を与えようとする、そしてそれは連続するときもある、次から次へと連弾のように、こちらを打ち据えようと暗がりの奥からやって来る、そう、だがそういった現象に狼狽えることはない、ああ、今
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