夜光虫たちの晩餐/ホロウ・シカエルボク
の静寂は、特にそれが知らない街の片隅であればなおさら、自分と瓜二つの洞窟の中に潜り込んでいくような感覚をそこに覚える、視界が限定されているせいかもしれない、行動が制限されているせいかもしれない、概念以上の日常がほとんど存在しない時間、亡霊とゾンビと物書きと犯罪者は夜歩く、そんな感覚に身を置かなければ、自分が存在しないような気になるときがある、日常とリンクすることは本当は容易なことではない、ある種の人間がそういうことを容易くこなしてしまう原因は、彼らがまるで脳味噌に思考というものを刻まないせいだ、何も刻まれない石板はただの形のいい石に過ぎない、洞窟に潜り込む方法は別段条件を必要としない、なにか目の前
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