夜光虫たちの晩餐/ホロウ・シカエルボク
 
間違えてあるべき形から外れてしまう、乗り間違えた旅人が泡を食ってまるで知らない街に飛び降りてしまうみたいに、石敷きの線路沿いの道を踏みしめた痛みで足首が脈を打っている、内側から傷んでいる、とそのリズムは囁いている、行ってしまった列車の振動はまだレール越しに微かに感じることが出来る、その印象が内耳に植えつけられたらそいつはすでに過ぎてしまった時間の亡霊ということになる、まるで死んでしまった現象のようにただ定刻に通過していっただけの列車を思い返すとき、そこにはなにかしら明言出来ない欠陥のようなものがあるのだろう、だが、そんなものにこだわっていても次の列車が通り過ぎていくだけなのだ


真夜中の静
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