死活/飯沼ふるい
 
僕の内側を引っ掻くから気持ちよさなど微塵もない。それでもあの出所の分からない恐ろしさから逃れるように、執拗に「きみ」の指とまぐわう。「きみ」の指を尻の口で豚のようにむしゃぶりながら、喘ぐ。喘ぐたびに還っていく。祖父のいやらしい手を見て目を背けたあの頃へ。精液を知らなかったあの頃へ。





いつかの祖父は、幼い僕のイチモツをしごくことで愛を教えた。僕を取り繕う魂とか精神とかいう類のものは、脳髄から脊椎へ雪崩れこむ、抗うことのできない激流に飲み込まれ、あの濁った果汁となって祖父のもとへ放たれた。祖父の愛に体が応え、おぞましい快感と底知れぬ悲しみが残った。
そして理性が、自分の中身は
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