死活/飯沼ふるい
身は腐っているのだという理解を引き連れて帰ってきた。息もきれぎれに、こんなものを吹き出してしまう自分のことを、どれほどの汚物であるか責めたてた。密室で、河川敷で、公園で、銭湯で、体をがくがくと震わせて濁った果汁を放つときの、暗い目の僕を、祖父はいつも恍惚と眺めていた。愛のために命の純度は落とされていった。
それから10と余年経った頃に付き合っていた嫌煙家の女は、クンニリングスの恥ずかしさが好きだと言った。僕はそんな自分の様を鏡で鑑賞すればいいと提案し、ベッドの脇に持ってきたスタンドミラーに向かい合わせて股をひらかせた。祖父のいやに優しい手を迎え入れるかつての自分の姿が重なった。いびつに窪んだ
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